居合道の浅岡選手が七段

2014年12月21日

 居合道の浅岡恵美選手(富山錬成館)がこのほど東京都内で開催された昇段審査会において、富山県内の女性では最年少となる38歳で七段に合格した。

 

 「居合道とは?」

 なじみの薄い武道なので少し説明しよう。剣道のように打ち合うのではなく、敵を仮想して日本刀を鞘から抜き、切り倒した後、納刀するまでの一連の動作を技として表現する。剣道が空手の組手なら、居合道は形に近い。試合では技・正確さ・力強さ・修行の深さなどが判定されて勝敗が決まる。

 浅岡選手は小学1年時から剣道、同3年時から居合道を始め、両方に取り組んできたが、同志社大入学後は居合道に絞って打ち込んだ。社会人になってからも鍛錬を続け、五段を取得した後で転勤によって一時期富山を離れた5年間以外は、稽古に励んできた。

 居合道の主な大会は、選手が段ごとに分かれて対戦するものの、男女の区別はない。おそらく、そのようなスポーツはほかにはないのではないか? 興味深い。浅岡選手は、これまで国内最高峰の大会である全日本選手権に7度出場し、2013年の大会では六段の部でベスト8入りを果たした。

 輝かしい成績を積み重ねてきた浅岡選手、「勝ち負けにこだわるのではなく、積み重ねたものがどう評価されるか。大会は自己実現・表現の場である」と潔い。表現力が求められる武道であり、人間性や個性がおのずと現れる。潔さは剣風にも反映されている。

 フィギュアスケートや体操のように技の成否が明瞭ではなく、高段者ともなれば大きな失敗はほとんどしない。つまり、進歩の度合いは分かりにくい。稽古は基本的に自己評価と鍛錬の繰り返し。地味で、孤独である。浅岡選手、自己分析によると「基本的に自分に甘い性格」とのこと。だからこそ、他者の目を意識し、自分を律して高みを目指している。