水球・保田賢也選手インタビュー リオ五輪へ向けて意気込み語る

2016年2月10日
リオ五輪への想いを語る保田選手

2015年12月20日、32年ぶりとなる五輪出場権を獲得した水球日本代表(ポセイドンジャパン)男子。あの興奮からしばらく経つが、本番のリオ五輪へのカウントダウンが始まっている。


2016年1月、富山市出身の保田賢也選手は、地元・富山での試合「富山カップ」出場のため凱旋。五輪出場権獲得の喜び、またこれまでの道のり、そして夢の舞台・リオ五輪出場への抱負を語ってくれた。夢に向かって挑戦し続ける姿に期待が膨らむ。



―リオ五輪出場権獲得、おめでとうございます。何度も聞かれていると思いますが、改めて決まった時の感想をお願いします。

 「直後は、出場を決めたという気持ちより。ただ試合に勝ったなという感じで、長い夢を見ているかのようでした。その時は泣いていなくて。翌朝起きると、おめでとうのメールやLINEが200件くらい届いていて、それを見てじわじわと。一人、部屋で泣いていました(笑)」

―2015年は、獲得まで合宿や遠征が多くありました。きついなと思ったことはないですか。

 「最後の2ヶ月半ほどはずっと拘束状態でした。そのはじめがグアム合宿でしたが、1日9時間ほど練習が続くんです。朝起きて体操、食事(朝食は選手で自炊)をとって1万メートル泳ぐ。そしてウエイトトレーニングをしてから約3時間の練習。最後にウエイト。という感じで。目標があったから、これを耐えればという気持ちで取り組んでいました。技術もですが、『これだけやってきたんだからまけないな』とみんなで話していて。自信に繋がりました」

―32年ぶりの五輪出場ということは、保田選手が生まれる前から出場していなかったんですよね。

 「出場権獲得は歴史的ではありますが、歴代の方々の活躍や努力がなければ、今の自分たちもいません。ロンドン五輪予選も負けてしまったけれど、その結果が自分たちのスタイルに繋がっていると思います」

―ロンドン五輪予選では、代表に選ばれませんでした。それからの時間はどのように過ごしてきましたか。

 「ロンドン予選敗退からの時間は長かったと思いますが、当時代表には選ばれなかったので、悔しさがありました。日頃の生活も、練習のきつい時もずっと五輪を意識して過ごしていました。代表を外れて、一度は水球を辞めようとも思いましたが、諦めないで続けてきて良かったです。精神的にも鍛えられました。緊張で吐きそうになった時や練習がしんどい時もありましたが、チームのみんなに助けられながら乗り越えることができました。一人だったら辞めてしまっていたと思います。チームスポーツの良さですね。

今の代表選手たちは、1年の半分以上も一緒にいた分、とても仲が良いです。その良い部分がアジア予選でプレーに出ていたと思います。今は、意味があった時間だったと思います。とにかく、みんな水球が大好き。食事の時なども水球の話になってしまいます(笑)」

―夏にインタビューさせていただいた時にも、必ず出場権を獲得すると話してくれました。ご自身でプレッシャーをかけていましたね。(Truth夏号参照)

 「夢は言葉にしなければならないと思っています。僕は話してしまう性格なんですね。その方が実現しやすいと思います。話すことで、どんな行動をとればいいのかが明確になってくるから。これまでもずっと恥ずかしがらずに話してきました。小さいころから有名になりたいとか、五輪に出たいとか。ですから、出場権を獲得して周囲の方には『おめでとう、有言実行はすごいね』と言っていただきました」

―五輪に出場しないとマイナー競技のままだとも話してくれていました。これで注目度もずいぶん上がったのではないでしょうか。

 「はい。出場権獲得という結果を残せたのは非常に大きいと思います。僕はテレビに出演させてもらったりすることで、水球の認知度が少しは上がったと思っていますが、本業で証明できてよかったです。試合がテレビ放映されたら、もっと多くの方に面白さや激しさを観てもらえるんじゃないかなと思いますけど。もちろん、勝つ姿を見せたいです」

―出場権を獲得は、保田選手の夢である五輪出場を叶える大きな一歩になりました。これから夢や目標に挑戦しようとしているに言葉をかけるとしたら。

 「先ほども言いましたが、僕は夢を伝えることを心掛けてきました。そしてその夢を信じてやってきました。なので、どんどん夢を周囲に話してほしいです。恥ずかしがらずに言葉にしたら、行動にも移しやすいと思います」

―富山の皆さんへのメッセージ、代表選出への意気込み、リオ五輪の目標をお願いします。

 「今の自分があるのは、いろいろな方々の支援や声援があったからこそだと思っています。その中でも富山の方々の声援にはいつも助けられてきました。これからも変わらぬ声援をお願いします。僕のルーツは富山です。

五輪出場の切符は手にしましたが、代表に選ばれないといけません。これからもしっかり練習して、まずは代表に選ばれるように気を抜かずに取り組んでいきたいと思います。

リオでは一つでも多く勝って、日本は違うというところを見せたいです。でも、初めての舞台なので、楽しむ気持ちも忘れないようにしたいと思います。僕たちのプレーを見て、水球はおもしろいと感じて、水球を始めてくれる子どもたちが増えれくれたら嬉しいです。その為にも、僕らが頑張らないといけないんです」

(インタビュー・土田由香里)

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