カターレ富山、J3開幕に向けて鍛錬

【高知キャンプレポート】攻撃的な守り構築へ着々

2021年2月26日

 カターレは2月7~21日に高知県春野総合運動公園でトレーニングを行っています。11~13日にその模様を取材しましたので以下にレポートします。

100194_01.jpg 石﨑信弘監督を迎えたカターレは7日からの高知キャンプでチームづくりを本格化させている。始動から一貫して守備練習に集中しており、監督の目指すアグレッシブなサッカーの土台となる守備力の構築にじっくりと時間をかけている。

 1月18日の始動から約3週間の屋内トレーニングでは、アプローチのかけ方やチャレンジ&カバーなど個人やグループでの守りの基本をチェックした。1対1、2対2、4対4といったふうに攻防にかける人数を増やしながら実施。教科書を1ページずつめくるように、段階を追って進めていこうという考えがうかがえた。

 高知に入ってからはチームとしての守り方を浸透させる作業に入ったが、1つずつ積み上げていく手法に変わりはない。最終ラインのスライド、中盤の選手のポジショニングといったテーマを設定しながら、やはり人数を順に増やしながら取り組んでいた。
 石﨑監督は短い攻防が終わるごとに複数の選手に助言を伝えていた。先のグループで話した内容も、次のグループで対象の選手が変われば同じことを同じように伝えるといったふうに根気強く、丁寧に指導する姿が印象的だった。

100194_02.jpg 石﨑監督は「守備を大事にする」。だが、イコール「守備的」というイメージは改めなければならない。現在トレーニングしているのは前からプレッシャーをかけ、連動して高い位置でボールを奪い切る守り方だ。監督は「高い位置で奪いたい。どうしても相手1人に対して2人というふうに人数を余らせて守りたがるが、それでは後ろに重くなる。センターバックの選手には、同数で、極端に言えば2対1でもなんとかして守れと言うとるんじゃ。これまでの守り方とは意識を変えてもらわなければいけない。経験のある選手には抵抗感をもつ者もいるかもしれんが、藤枝では(元カターレでベテランの)秋本(倫孝)だって変わったんだから」と話した。

 いずれは押し込まれた際の対応法なども教えるのだろうが、今は目指すサッカーの基本スタイルを叩きこむことに注力している。この超攻撃的なディフェンスがピッチで具現化されるのを楽しみに待ちたい。

100194_03.jpg 11日の讃岐との練習試合は45分×2本で行われ、カターレは約30分ごとにほぼ全員が入れ替わるかたちで全選手がプレーした。取り組んだ守りのスライドや前からボールを奪いにいく連動の確認がテーマ。フォーメーションは藤枝が昨季に採用していたツートップ、ツーシャドウ、アンカーの[3-5-2]。ポジションは選手の希望にそって決めたそうだ。

 前半はカターレがハイプレスをかけ、シャドウに入ったMF椎名伸志の鋭い寄せなどから狙い通りに何度かチャンスをつくった。どちらも決め手を欠いて形勢は互角だったが、讃岐のベテランMF高木和正のCKとFKから22分と45分にいずれもDF西野貴治に決められて0-2で折り返した。

100194_04.jpg 後半5分にも讃岐の速攻からFW林友哉に決められ0-3に。しかし直後の7分にFW高橋駿太のクロスを起点にFW大野耀平がゴール前の混戦から決めて1点を返す。10分にも大野がMF佐々木陽次の中盤からのパスで裏に抜け、左の角度のない位置からファーにグラウンダーで流し込んで2-3とした。その後も25分に再び大野が裏に抜け出したり、37分にMF姫野宥弥が敵陣でボールを奪ってクロスを送ったりとチャンスはあったが3点目は生まれずタイムアップとなった。

 石﨑監督は「取り組んだことをやろうという姿勢は見えたが、どこまでできたかといえば10分の1ぐらい」と辛口の評価。「だが、すぐにできるほど簡単なものではない。今回を参考材料にして改善していけばよい。良い参考映像がつくれそうだよ」と話した。

 シャドウの位置でプレーしたMF花井聖は「初めての試合だったが、守りの連動性やボールを奪おうという意識は良かったのではないか。シャドウは運動量が求められるが、攻撃時は自分の持ち味を出しやすい。石﨑監督は守備を大事にするので昨年とは意識を変えなければいけないが、要求に応えていくのが良い選手。守りをしっかりやったうえで、攻撃で良さを出せるようにしたい。自分を伸ばせるチャンスだと思って取り組んでいる」。

 2得点を挙げたFW大野耀平は「ハードなトレーニングが続いて疲れはあるが、僕はこれぐらいのほうがかえって体が動く。(角度のない位置から決め切った2点目については)しっかり踏ん張れた。お尻の筋肉を鍛えている成果がでた」と言う。FWはプレッシングの始点としての役割も求められるため、「行くべき時とそうではない時の見極めができるように意識して取り組んでいきたい」と話していた。

 始動日から3月14日の開幕戦までは8週間。残るは4週間弱となった。練習試合を重ねているクラブも多く、カターレのチームづくりのペースは遅くも感じられるが、石﨑監督にはこれからの道筋がはっきりと見えているようだ。「メンバーを固めていくことができないわけではないが慌てる必要もない。今はまだチーム全体でレベルアップを図っていかなければならない」と話した。

 チームは2月21日まで高知、24日から3月1日は静岡に場所を移して鍛錬を積む。
(『カターレ通信』より転載)

100194_05.jpg