まちなかスタジアム構想を提言/富山経済同友会

スポーツを地域活性に活用するプロジェクト

2015年4月20日

 富山経済同友会は20日、地域活性化のための提言として「まちなかスタジアム構想」を発表した。富山城址公園内に観客15,000人を収容する多機能複合型のサッカー専用スタジアムを建設し、中心市街地の商業振興や公共交通機関の利用促進につなげるという試案だ。

 同会の地域活性化委員会が2年がかりでまとめた。「コンパクトシティ施策に資する、多機能複合型大規模集客施設の整備による、持続可能なまちづくりの提言」との副題が添えられている。

※富山経済同友会HP(http://www.doyukai.org/)で提言書を閲覧できます

 発表は富山商工ビルで記者会見として行われ、市森友明委員長が59ページにわたる提言書を約1時間かけて説明した。市街地にスタジアムを建設する狙いは「スポーツという地域の資源をより有効に活用し、地域活性化につなげる」こと。商業、コンベンション、文化施設を併設する多機能複合型スタジアムには「防災面を含め、都市に必要な機能を詰め込むことができる」としている。

 提言書には国内外の事例研究や地元で実施したアンケート調査の結果、立地の検討プロセス、スタジアムの具体的な整備プランと図面、経済効果の試算、建設費の捻出など実現可能な事業スキームの提案などが盛り込まれている。

 「城址公園での建設は議論を呼ぶと理解しているが、今回はスタジアム建設による効果が最も大きくなる場所として選んだ」(市森委員長)。

 建設費は約100億円(開閉式の屋根付きなら約140億円)かかると試算。事業スキームとしては企業や市民からの寄付を中心に費用を集めたガンバ大阪のホームスタジアム(現在建設中)のケースや、維持管理も含めたPFI方式をモデルとして示した。

 記者からは財源や立地など実現可能性を尋ねる質問が相次いだ。富山経済同友会としては、提言だけに終わらせず、実現させるための方法を本年度以降も検討していくという。

 建設費について市森委員長は、「現在も大規模な公共施設の建設は行われており、スタジアム建設の100億円が高いか安いかは評価次第」と話す。そのうえで「これからは行政だけに頼る時代ではない。企業をはじめとする民間が姿勢を示す必要がある。この提言は企業トップの集まりである富山経済同友会としてまとめたものである」との表現で可能性がゼロではないことを強調し、「実現のためには(さまざまな組織が参画する)さらに大きな枠組みがいる。世論や企業の働きかけが行政を動かすまで高まった時に可能になる」と語った。

 同委員会担当役員の塩井保彦副代表幹事も同席。「(政府の掲げる)『地方創生』とは地域で自ら新たな事業を起こして再生につなげよ、という政策だと理解している。コンパクトシティを目指す富山市の施策もこれに沿っており、市街地にないスタジアムを建設するのも合致した事業であり提言した」と話した。富山経済同友会は広く訴えるものとして定期的に提言をまとめている。今後、県や富山市にもこの提言を詳しく説明する機会を設ける。