高校サッカー 富山第一、全国制覇以来2大会ぶり県代表

2015年11月7日

 第94回全国高校サッカー選手権県大会は7日、県総合運動公園陸上競技場で決勝があり、富山第一が2-0(前半1-0)で富山東を下した。全国制覇した前々回大会以来となる2年ぶり26度目の優勝。全国大会は12月30日に開幕する。

 富山第一は前半途中から主導権を握りボールを保持しながら攻め込む。今大会無失点を誇る富山東の体を張った守りに手こずり0-0で進んだが、同30分に右サイドを速攻で崩してMF賀田凌選手が先制点を挙げた。

 後半3分には相手陣中央でボールを奪ってから素早く攻めて、賀田選手のラストパスをFW坂本裕樹選手が決めてリードを広げた。その後も得点機をつくりながら優位に進めて相手を無得点に抑えて快勝した。

 富山東は堅守速攻で対抗した。前半からMF市田将道選手のドリブルなどで好機をうかがい、リードを許した後半は前掛かりに攻めて反撃した。同38分に左サイドから抜けたMF佐野歩夢選手がシュートを放つが右ポストに弾かれゴールを奪えなかった。

※公式記録(県サッカー協HP)


■速攻鮮やか値千金の先制弾

 富山第一はこれまでの練習の成果を決勝の舞台で存分に発揮した。北信越U-18プリンスリーグで3位に食い込むなど実力は県内最上位。しかし対する富山東も県U-18リーグで優勝して堅守速攻に磨きがかかっていた。
 開始5分に得点機を逃すと、チャンスを数多くつくりながらもゴールが奪えない。このまま0-0の状態が続けば相手に流れが傾く恐れがあった。勝利をぐっと引き寄せたのは前半30分に挙げた先制点だ。

 値千金のその得点は鮮やかな速攻から生まれた。右サイドバックの放生祥季選手がMF久保佳哉選手にボールを預けると同時に敵陣へダッシュ。ドリブルで存在感を発揮していた久保は自ら仕掛けながら、中央寄りを駆け上がる放生にパスを戻す。右サイド深くに進入した放生はキックフェイントでDFを交わして強いクロスを入れ、最後は走り込んだMF賀田凌選手が合わせてゴールネットを揺らした。

 前半途中からフォーメーションを中盤ダイヤモンドの[4-4-2]から[4-1-4-1]に変更していた。得点を挙げた賀田はこれによって左サイドから中央にポジションを移しており、作戦が的中したかたち。大塚一朗監督は「大会が始まると対戦相手に研究される。途中でフォーメーションを変えると相手は嫌だろう」と考え、10月から新たなフォーメーションの習得に取り組んだという。

 アシストした放生は利き足とは逆の左足で好クロスを送った。大塚監督は「彼には右サイドから左足で斜めのボールを前線に送るように指導してきたが、練習の成果をあのようなかたちで出してくれた」と称えた。
 放生は「やるからには日本一を目指すという思いでやってきたが、これまで全国大会に出場できず本当に悔しかった。高校最後の今大会で絶対に優勝したかった。全国でも自分たちのサッカーをして勝ちたい」と話した。


●富山第一・大塚一朗監督の話
 選手たちに「おめでとう」「ありがとう」と伝えたい。日本一になってから県大会で勝つのが当たり前のように思われ、(負けると)「どうしたの?」と言われるのがつらかった。負けると選手も自信を失う。これまで鬼門だった準決勝(水橋戦)をPK戦の末に突き破れたのが大きかったと思う。自分たちを信じて戦ってくれた。まだ伸びる余地のあるチームなので、プレー精度を上げ、セットプレーなども磨いて全国で勝てるように準備していく。

●富山第一・早川雄貴キャプテンの話
 スコアは2-0ですがけっして楽な試合ではありませんでした。全国制覇をしてから県大会の準決勝で負け続けていたが、日本一になるという目標を持ちしっかり練習をしてきたので今回頂点に立つことができた。2年前はスタンドから応援していて、先輩たちの姿は憧れだったが、今度は自分たちの手で優勝したい。(あの時のように)県民のみなさんに盛り上がってもらえるように頑張る。

●富山東・武隈雄亮キャプテンの話
 (同じく決勝で富山第一と対戦して敗れた)2年前のリベンジをしたかったが、個人としてもチームとしても相手とは差があった。攻め込まれるのは想定内だったが、(失点場面については)やられたなと思う。(大会を通じて)守備の面では練習の成果がでていたと思う。(県U-18リーグの優勝校として北信越プリンスリーグへの参入戦に出場するので)勝って次につなげたい。後輩たちにはきょうの試合で感じたことを今後に生かしてほしい。