トナミ対決制し、園田・嘉村組が初優勝/全日本総合バド

20歳ペアの保木・小林が健闘。ベテラン佐々木も存在感

2015年12月6日

100102_01.jpg 全日本総合バドミントン選手権は6日に各種目の決勝があり、トナミ運輸勢同士の対決となった男子ダブルスは園田啓悟選手と嘉村健士選手のペアが初優勝した。20歳ペアの保木卓朗選手と小林優吾選手に第1ゲームを先取されたが、2-1(19-21、21-15、21-8)で制して先輩の貫録を示した。

 男子シングルスで2連覇を目指したロンドン五輪代表の佐々木翔選手は準優勝。対戦相手の21歳の桃田賢斗選手が「“ゾーン”に入った。第2ゲームは予測したところに相手の打球が来たし、あそこに決めたいと思った通りの所に決められた。相手のコートは広く、自分のコートは狭く感じたし、シャトルがすべてスイートスポットに当たった」と振り返るハイパフォーマンスを展開。佐々木選手は粘り強く対応したが、0-2(17-21、9-21)で敗れた。

 トナミの園田、嘉村、佐々木選手と平田典靖選手、橋本博且選手の計5人はナショナルチームのメンバーとして、リオ五輪出場を目指して海外を転戦している。
 五輪出場は来年5月5日に発表される世界ランキングで決まる。5人は現在、ダブルス、シングルスで日本人2枠目を獲得するべく、ダブルスなら8位以内、シングルスなら16位以内を目標にしており、これからの国際大会で上位進出を重ねていく必要がある。

※全日本総合バドミントン特設ページ
http://badminton.or.jp/2015/alljapan/index.htm
※五輪出場の条件や世界ランキングはこちら
http://www.badminton.or.jp(日本バドミントン協会)

 

■残り半年。かみしめながら五輪めざす/佐々木選手
 佐々木選手は今年で33歳を迎え、リオ五輪を競技者としての最終目標に定めています。その後のことは頭になく、「全日本総合は今回が最後になるかもしれない」と考えてきょうの決勝に臨んだそうです。

100102_02.jpg 試合前のコイントスではコートを選び、「相手の桃田選手は昨年の雪辱に燃えている。あえて昨年とは異なる側のコートを選びました。お互いに新しい気持ちで試合を始めるのがよいと思いました」。
 序盤は佐々木選手が優位に進めて8-3とリード。しかし、その後追いつかれて第1ゲームを失うと第2ゲームは相手の勢いに押し切られてしまいました。

 「リードして相手が浮足立ったところでポイントを取り切れずゲームを失ったのが痛かった。桃田選手は力を付けている。(今日が特別というよりも)練習でもやっているいつも通りのすごい彼でした。わたし自身は8月までスランプでしたが徐々に調子が上がっていて、今回勝ち進めたことは自信になりました。きょうはこういう結果にはなりましたが、これが現状であり、今の力は出せたと思います」。試合を冷静に振り返りつつ潔く相手を称えていました。

 「五輪出場を目指して5月までしっかりやりたい。競技生活の集大成になるので力を出し切りたいですね。(ひとつの大会、ひとつの試合を)かみしめながらやろうと思っています」。今夜、アメリカ、メキシコで行われる大会に出場するため出発します。


100102_03.jpg■先輩の意地、後輩の無念
 トナミ勢同士の対戦となったダブルスは年長の園田・嘉村組が勝利。第1ゲームこそ後輩ペアの勢いに押されて競り負けましたが、第2ゲームから立て直して圧倒しました。素早いタッチで低い弾道の返球を続け高速のラリー戦に持ち込むのが得意な2人ですが、きょうは流れを変えるためにコートに広く配球するパターンも交えたそうです。

 熊本県の八代東高校時代から組む25歳の同級生ペア。「後輩には絶対負けたくありませんでした。2人で話して今年は本気で総合のタイトルを取りにいったので果たせてよかったです」と園田選手は話していました。

 一方の保木・小林組は試合後の悔しそうな表情が印象的でした。「フィジカル、球質をはじめ相手の力が1枚も2枚も上でした。このままでは勝てない。もっと努力しなければいけないと思いました」と小林選手。

 保木選手は「せっかくここまで勝ち進んできたので勝ちたかった。残念だし、悔しいです。チーム内の競争で勝たないと日本リーグにも出場できません。来年また勝ち進んで今度は勝ちたいです」。対戦したのは経験、実績ともはるかに及ばない先輩ペアでしたが、この試合では競技者として対等に向き合い、勝ちにいった2人の気持ちが伝わってきました。
 若手の台頭がチームに刺激を与えたのは間違いないでしょう。トナミ運輸の選手たちのさらなる飛躍に期待がふくらみます。


【前日に行われた準決勝のレポート】
■男子ダブルス決勝は12年ぶりトナミ対決
 バドミントンの全日本総合選手権は5日、東京・代々木第二体育館で各種目の準決勝が行われた。男子のトナミ運輸はダブルスで園田啓悟・嘉村健士組と保木卓朗・小林優吾組がそろって決勝に進出し、シングルスで2年連続3度目の優勝を目指す佐々木翔選手も勝ち進んだ。
 男子ダブルス決勝でのトナミ運輸勢の対決は2003年以来12年ぶりの快挙。あすはどちらが勝っても初優勝になる。


 園田・嘉村組が世界ランキング6位の早川賢一・遠藤大由組(日本ユニシス)を2-1(21-12、18-21、21-12)で撃破すると、保木・小林も2-1(21-19、21-23、21-15)で、前日にトナミの同僚の平田典靖・橋本博且組を破った日本ユニシスのペアに競り勝ちました。

 園田選手は「(早川・遠藤組は)いつかは倒さなければならない相手でした。我慢強く戦うことができました。今年は総合の優勝を目標にしてきたので(あす勝って)有言実行にしたいです」。
 嘉村選手は「相手はレシーブが強いので自分たちがいかに打ち続けられるかが勝負だと思っていました。高速ラリーなら自分たちに分があり相手を慌てさせる展開に持ち込めたのがよかったと思います」と振り返った。今年はリオ五輪出場を目指して海外を転戦しており、初タイトル獲得で弾みをつけたいところです。

100102_04.jpg 保木・小林は福島県の富岡高校から加入して2年目の若手ペア。今年は全日本社会人選手権で優勝を果たすなど急成長をみせています。この日も素早いタッチのラリーや思い切りのよい強打で攻めの姿勢を貫き、ナショナルチームの先輩たちを手本に鍛えてきた成果を存分に披露しました。
 小林選手は「正直ここまで勝ち進めるとは思っていませんでした。決勝でも気負わずに自分たちのプレーをしたい」。保木選手は「先輩との対戦は楽しみ。勝負はやってみなければ分からないものなので勝つことを考えて向かっていくだけです」と話していました。

 ベテランの佐々木選手は決勝で、昨年と同じく桃田賢斗選手(NTT東日本)と対戦します。桃田選手は世界ランキング6位につける日本のエースで、佐々木選手もその実力に一目置いています。「すごく伸びている強い彼とどれだけ戦えるか。自分が動けるか動けないかにかかってくるが、頑張ってしっかりした試合をしたいです」と話していました。