石動女子16年ぶり日本一/全国高校総体ホッケー
全国高校総体ホッケー女子で石動が16年ぶり4度目の優勝を果たしました。5日、京都府京丹波町のグリーンランドみずほで決勝があり、丹生(福井)を1-0(前半0-0)で下しました。
前半は丹生の勢いに押されて防戦一方でしたがなんとかしのぎ切ります。後半に入って徐々に盛り返し、20分ごろから主導権を掌握。25分に立て続けに得たペナルティーコーナーの2本目でリバウンドをつないで高島瑠唯選手が決めて先制を奪いました。その後も落ち着いて時間を進めて勝利を収め、春の選抜大会準優勝からステップアップして日本一に輝きました。
【耐え抜いて勝機逃さず】
日本一をかけた決勝は同じ北信越地区の好敵手・丹生との対決。石動は接戦を覚悟して前後半の計70分で勝ち切る作戦を立てていました。丹生のストロングポイントである右サイドの攻撃を警戒し、勝負所の後半にそのサイドが自分たちのベンチ前になるようにコートを選びました。「焦ると同じ(失敗の)パターンの繰り返しになる恐れがある。ベンチからの指示で手助けしなければならない状況もあり得る」と西永毅監督は考えていました。
しかし、その右サイドからの攻めを含めて丹生の立ち上がりからのラッシュは想定を上回るものでした。西永監督は「練習試合を含めて普段なら6:4ぐらいでうちが支配するのだが、丹生さんが昨日の準決勝の良いかたちをそのまま出してきた」と感じたそうです。ディフェンスリーダーの山室吏沙選手(3年)が「こんなに一方的に押し込まれた試合はあまり記憶にない」と振り返るほど。「低い体勢で構えてシューティングサークルの外で止めようとした」が、23分から27分にかけて5本のペナルティーコーナー(PC)を与えるなどピンチの連続でした。相手のPCのパターンを映像で研究していた成果もあってなんとかしのぎます。耐え抜いて前半を無失点で折り返すことに成功し、これが勝利への大きな一歩となりました。
後半はディフェンスのフォーメーションを変更して対応し、当初の計画通りに監督もベンチ前に立って声をかけ選手たちを落ち着かせます。前半から飛ばした相手の運動量が落ち始めたのも重なり、残り15分を切って形勢が逆転しました。敵陣に攻め込んで後半25分にきょう3本目のPCを得て、この時は強打せず山室選手が持ち込んで崩しにかかります。直後に得た4本目は中央からの強打とみせて左に流してシュート。このリバウンドを拾って混戦の中でつなぎ、最後は1年生の高島瑠唯選手が先制点を決めました。「みんなで決めた1点。すごくうれしい」と話します。丹生のGKはこの年代ナンバーワンの守護神でこの日も何度もゴールを阻まれていましたが、最後にこじ開けて優勝を引き寄せました。
西永監督は「(準優勝した)春の選抜大会で決勝の舞台を経験できたことが夏の優勝につながったと思う。まず『準決勝に出よう』、次は『決勝に行こう』とやってきて、春以降は決勝で勝つメンタルを意識して取り組めた」と話しました。
キャプテンの沼田紗綾選手(3年)は「日本一を目標にして全員が手を抜かずに練習し、苦しい時にもチームワークで乗り越えてきた」と笑顔。はちまきの赤が色あせているので尋ねてみると、ホッケー部に代々受け継がれているものとのこと。そこには「ワンフォアオールオールフォアワン」と刺繍されていました。
強豪として知られる石動も沼田選手ら現在の3年生6人が1年だった秋には選手数が足りず、部外から助っ人を加えて大会に出場したことがあるそう。現在の部員は22人。受け継がれた歴史に新たな栄光の1ページを加えました。