高岡商が7年ぶりに夏の甲子園へ

2015年7月26日
中川真主将を先頭にダイヤモンドを一周する高岡商

 全国高校野球選手権富山大会は25日に高岡西部総合公園野球場で決勝があり、高岡商が5-2で富山東を下して7年ぶり17度目の優勝を果たしました。

 昨年準優勝の高岡商は今年も有力校のひとつに挙げられていましたが、優勝までの道のりは厳しい戦いの連続でした。コールド勝ちは初戦のみで、以降はすべての試合で相手に先制点を許したり、先制しても追い付かれたりして苦労しました。前日の準決勝の新湊戦では最終回に2点差を逆転してサヨナラ勝ち。この日の決勝も初優勝を目指す富山東の勢いに押され気味でしたが、6回に吉国諒君の2点適時打で勝ち越して競り勝ちました。

 光ったのは思い切りのよいバットスイングと仲間のミスをカバーしようとするチームの一体感。2013年秋から指揮を執る32歳の吉田真監督にその要因について尋ねてみました。

Q:大会通じて失策が多かったのですが(5試合で計13個)、選手たちがミスの後も萎縮することなく戦えているように感じました。ある程度のミスを許容することで伸び伸びとプレーさせていたのではないですか。

 「ミスは起こるものだと考えており、恐れずに積極的にプレーしてほしいと思っています。(準決勝と決勝は竣工して間もない)新しい球場なので所によってバウンドがはねたり、はねなかったりするようで内野手はゴロの処理が難しかったと思います。失策にはなりましたがヒット性の当たりもありました。確かに失策は多かったのですが、本当に大事な場面でのミスはほとんどなかったと捉えています。勝負所で集中してプレーすることの重要性はいつも伝えているので選手はよくやったと思います」

Q:各打者が試合展開に左右されずに思い切りのよいスイングをしていました。逆転した準決勝の最終回もそうでした。決勝も4番の堀内卓哉君は常にフルスイングでした。チームの方針なのですか。

 「必要ならばケースに合わせたスイングもさせます。しかし、どんな場面でもそれぞれが自分のスイングをきっちりしようよ、というのが基本的な考え。堀内君についてはまだ2年生ですし、あのスイングが彼の個性でもある。わたしが投手の立場なら当てにくるより、あのように思い切り振られるほうが嫌。『あそこには投げられない』という意識を投手がもつことで逆に制球が乱れるのはよくあることです」

Q:北海道出身で選手時代は札幌南で甲子園に出場した若い指導者の吉田監督が、伝統校の野球に新たな一面を加えたように感じていますが、いかがですか。

 「そのようにプレーできる能力のある選手たちだったということでしょう。今の3年生は(昨年度まで監督、部長を長く務めてきた)宮袋誠先生(今春より南砺福野監督)が指導してきた選手です。宮袋先生がつくってこられた流れがあり、わたしはそれに乗ってやらせてもらっているにすぎません。選手時代に甲子園に行っているといっても、わたしの学校はチャレンジャーに過ぎなかった。高岡商の選手たちは伝統校の一員として甲子園を目指し(プレッシャーもはね返して)勝ち取った。とても価値があることで、彼らがよく頑張りました」

【新球場のもたらした勝負のあや】

 今大会は決勝・準決勝の3試合で計17個の失策が記録された。すべてが内野手の失策でほとんどが捕球ミス。失点に絡み、勝負の行方を左右するプレーもあった。甲子園出場をかけた緊張感や技術不足が主因だろうが、上記のインタビューで高岡商の吉田監督が言及したように試合会場が5月にオープンしたばかりの高岡西部総合公園野球場であったことの影響は少なからずあったと考えられる。

 同球場は甲子園と同じ黒土を使用しており、素晴らしいグラウンドだ。しかし、高校野球の公式戦で使用されるのは初めてで、選手たちにとっては慣れていない環境だった。土質によるバウンドやプレー感覚の違いに戸惑った部分はあるだろう。土のきめが細かく、軟らかくも感じるそうだ。準決勝ではさらに前日の雨で土が湿っていた。富山工の先発投手が初回のバント処理で足をとられてアウトを取れず、これをきっかけに5失点した。

 残念なのは準決勝前日の球場練習が雨によってできなかったことだ。このグラウンドで事前に少しでも多くプレーできていればまた違う結果もあり得たかもしれない。

 その中で新湊が準決勝を唯一無失策で守り切ったことは特筆したい。一塁手がゴロを捕球して二塁、一塁とボールを転送する「3→6→1」のダブルプレーも完成させた。

優勝を決めて喜ぶ高岡商の選手たち
完投した高岡商の北村太聖投手
先発して好投した富山東の帯刀遼平投手
高岡商が4回に犠飛で吉国諒一塁手がホームインして勝ち越す。吉国選手はこの日3安打2打点2得点の活躍
富山東の試合前の表情